4月某日、僕は東松島にある「JAZZ 工房 アビー・ロード」へ車を走らせた。
石巻方面にちょっとした野暮用があり、その用事が早めに終わったため、アビーロードへ寄ってみようと思い、店主に電話を掛けてみた。
いつもは、行くときに確認の電話などはあまりしないのだけれど、コロナの影響もあり、電話してみることにした。店主はコロナの影響などどこ吹く風とばかりに元気がよく、待ってるからすぐに来いとの返事。
到着後、その階段を登り、中に入ると、いつもより若干低めの音量ながら、なかなかの空気を吐き出しながら、店主自慢のJBL システムが鳴っていた。
彼のBlogで、例のブツを手に入れたことは知っていたので、一通り話し終えたあと、話を切り出してみた。
店主はにやにやしながら、小さな箱を取り出し、
カウンターの脇にそれを置いた。僕は現物を見るのは初めてであり、その小さな箱を手に取り、じっくりと眺め、箱を開けて中身を取り出し、軽く撮影をした。500台限定 shureV15typeⅢ用のVN35MRB(BASIE model)
箱の中から一枚のミニチュアの原稿用紙に、菅原マスターの直筆のメッセージが書かれてある。
早々に店主自慢のトーレンスに付け替えて頂き視聴をさせて頂いた。70年代のオリジナルのレコードに針が落ちた瞬間、眼前の景色ががらっと変わった。ずいぶん鳴りの良い針である。まぁ、そのシステムのセッティングにより、様々だと思われるが、第一印象はよく鳴るな、って思った。
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鳴りの質感は、賛否あると思われるが、まずは鳴りが良ければ、あとはその持ち主の思い込みと努力があればなんとでもなりそうな気がした。
この針について、世間ではいろいろな意見があるのを耳にしているが、何はともあれ、SHURE V-15 Type III のスタイラスが、世界一のジャズ喫茶、BASIEの菅原 正二マスターのプロダクトで、レコード針の老舗企業 JICOが販売にこぎつけたことを賛美したい。
JICOスタンダード SHURE V-15 Type III
これで、我々、オーディオ、レコード愛好家の悩みがなくなるとは、当然思わないが、そのようなニッチな商品のプロダクトが現実になることが出来る世の中って、なんて素敵なことだろう。
世はコロナウイルス騒動で天地がひっくり返る程の騒ぎになってる。
3.11東日本大震災のときもそうだった。何にせよ、この騒動がいつ終結するかはわからない。
わからないが、多分、我々はこの国難も乗り越える。そして、乗り越えた先に、また新たな価値観が芽生える。
すごく不謹慎とは百も承知であるが、なんか子供の頃、台風が上陸する前のワクワクした感じと同じ感覚を覚えるのは僕だけだろうか。
以前の僕のBlogでもその事は書いてあるのだが、ここの店主は写真家である。主に撮影するのは風景が中心である。店内は彼の撮影した写真が多数飾られている。
今、店主は写真に一呼吸おき、絵画に通じるようなJAZZ関連の手書きの看板やがくの制作にハマっている。店の壁に豪快にペンキで書いたものなど、その作品は多岐にわたる。
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各一点物になります。入れ違いで売れた場合はご容赦下さい
かのブレッソンや、土門先生などもしかり、
老いた写真家のたどる道は、画家になり、そして物書きになり、人生をまっとうする。我々写真家は、いつも光を読み、構図を取り、そして一瞬でシャッターを押す。
その一瞬のために、撮影の技術、お道具の選別、様々な経験を駆使してことに当たる。そして、どの世界でも同じだと思うが、口で四の五の言っても、見る人が見れば、それが写っているのか、いないのか、簡単に分かってしまう。
オーディオ遊びもまた然り。最終的には、結局人なんだ、というところに話は戻ってくる。店主のオーディオや写真にまつわる、そんな持論を聞きながら、あっという間に時間が過ぎた。
先頃、ここ、アビーロードも禁煙になったらしい。
店主も禁煙して10日目だと言っていたのだが、そこは JAZZ。店主は僕に灰皿を出してくれて、その、アビーロードのこだわりの珈琲を味わいながら、煙草を楽しみ、物欲しそうに眺める店主に煙草を勧め、
店主の頑張りの10日間をみごと不意にした。
Abbey Road アビーロード
- 宮城県東松島市川前3-169-28
- TEL:090-7527-6705
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