知人からの宅配便、で、僕のもとに届いた「箸」

About me

恥ずかしながら、僕はこの年になるまで一度も自分の箸を持ったことはなかった。

更に言うと、僕はこの年になるまで、一度も自分専用の「箸」を所有したこともなかった。いや、正確には幼少の頃、微かな記憶の中で、可愛い子供用の絵柄の付いた箸を両親から与えられたことがあったような気がする。

幼い頃の思い出では、どうも僕は「箸」を噛むくせがあったらしく、「箸」の先端をかじり、両親に叱られたことも、あったよな気がする。

どちらにしても、物心がついて、自分で「箸」を選び、それを愛用して、その道具としての「箸」の素晴らしさなど、全くわからず、それに対して感動したこともなく、感動しないのだから、尚、それを大切にすることもなかったのは確かである。

その「箸」という文化的な側面も、僕は今まで、ナイフや、フォークや、スプーンのほうが、なんだか合理的だとも思っていた。

先日、その知人宅にお邪魔した際、食事を御馳走になった。木製のプレートに、数々のおかずと共にパスタやサラダなどが盛られていた。

そして、出されたのが、その問題の「箸」である。

箸

元々、僕は今まで、自分は「箸」の使い方が下手な部類に入ると認識しており、そのプレートを見たときに、ナイフとフォークがほしいなって、実は思った。

そのまま、その箸を使い、皆と話しながら楽しく食事をしていたのだが、僕は、途中から、なんだか変な気持ちがしてきた。正確にはとても不思議な気持ち。

その平たい木製のプレートに乗っている様々な食材が、何ということか、きれいに箸で掴んで、それは吸い付くように、限りなく自然に口に運ばれる。皿も散らからず、とてもきれいに食べられて、そして、さらに驚くのが、箸先のほんの2~3センチほどしか汚れていないことに気がついた。

とても不思議な気持ちになり、わざとパスタの一本を掴んでみたり、サラダのほんの細かなところを掴んでみたりもしたが、その「箸」は、まさかと言うほど、それは正確に、優しく、適度な加減を自由自在に操ることが出来ることにびっくりして、一緒に来ていたアシスタントに耳打ちした。「この箸、すごくない?」と。

その「箸」は、一見すごく無骨で、なんだか角張っており、

箸

長さも普通のモノと比べると幾分長く、先に行くほどシャープであった。

深みのある色合いと、つややかな姿は、すごくどっしりとした感じがするのだが、それが、不思議に手に収めると、それは限りなく重くて軽い。握り心地は固くて柔らかい。

なるほど、、僕は心の中ですこし嬉しくなった。どこの世界も名品と言われるものには同じ共通点がいくつもある。僕の知ってる限りにおいて、例えばLeica。特にM型など、それはずっしり軽い。

また、Montblanc meisterstueck. 特に149なども、固くて柔らかい。それは手の中ですっと収まり、手に吸い付いてきて、それは冷たくって温かい。いつまでも触っていたくなるような物なのだ。

この箸には同じような感覚を覚えた。

恥のかきついでにもう一つと言ってしまえば、「箸」なんてどこがいいんだろう、と、実は昔から思っていた。人生五〇年過ぎて僕は「箸」というものに心から感動を覚えた。あぁ、間に合ってよかった。折返しの五〇からは、おそらく毎日使うであろう一番身近な道具としての「箸」を楽しめるのではないかと嬉しくなった。

風情がどうだとか、日本人だからとか、実はそんな問題ではなかったんだなぁ、と、分かったことがほんとに嬉しい。日本人は、この「箸」という道具が使いやすく、優れていたから、それが根ざして文化になったんだと感じた。

宮本武蔵だったか、、なんでも彼は箸で蝿を掴んだという伝説があるらしい。今、僕の手元にある箸を触りながら思うのだが、これはまんざら伝説ではないかもしれない。

「箸先には神が宿っておられる」

この箸の製作者は、三重県志摩市の箸師。お年も七〇歳を超えられているとか。

箸と一緒に知人からの手紙が添えてあり、そこには「箸先には神が宿っておられる」と書いてあった。今はお体の都合で箸師としての活動はどうされているか定かでははいらしいが、この偶然のめぐり合わせにより、この「箸」を使い飯を食うと言う行為自体、もう一度考えさせれられ、すごく豊かな気持ちになった。

あえて、問い合わせ先等、記しません。興味のある方は自分であたりを付けていただきたい。そして、もう一度、道具として「箸」という物に触れていただきたい。きっと、日本人として生まれたことを誇らしく思え、そして、この「箸」をとおして、新たな感覚が宿ると思う。

では、また!

この記事を書いた人
Kouichi Teragishi

Teragishi photo Studio® 仙台在住のフォトグラファーです。

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